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今回のトピックは「アフターコロナの人材マネジメント」についてです。
2020年、2021年はコロナの影響により、多くの企業が苦労したのではないでしょうか。2022年はコロナの影響は少なくなり経済活動が増えてきておりますが、“人材マネジメント”において新たな課題を抱えていると企業からお聞きします。
今回はメキシコの“人材マネジメント”について考察し、アフターコロナの“人材マネジメント”を考えるきっかけになれば幸いです。
アフターコロナの働き方
2022年になり、やっとコロナが終息に向かっておりますが、多くの企業が「今後の働き方」について迷っています。
コロナの拡大により、働き方が大きく変わり、ほとんどの企業がテレワークを行うようになりました。また、このテレワークにより、多くの方の「時間」に対する意識が変わってきています。今まで1時間かけて出社していたのが、パソコンを付けるだけで出社できるようになり、働く場所も自由になりました。テレワークにより、個人の自由が増えたのです。実際、メキシコでは片道2時間以上かけて出社する方もいるので、そういう方にとってテレワークはかなり魅力的だと言えます。
その一方で、自由が増えたことにより、仕事とプライベートの区別がつかなくなってきているケースも増えています。自分を律することが出来ず、仕事に集中できない方や勤務時間の区切りが出来ず、仕事をしすぎてしまう方などが多くいます。メキシコは、OECD加盟国の中でも一番労働時間が長く、生産性が低いとされているので「本当に働いているか不安」という声も多く聞きます。
また、会社内でのコミュニケーション不足も問題になっています。今まではすぐに確認できたことが、数時間かかることもあります。こうした問題がある中で、「今後の働き方をどのようにしていくのがいいのか」「どのように人材をマネジメントしていくのか」を改めて考えていく必要があるのです。
メキシコは、OECD加盟国の中でも一番労働時間が長く、生産性が低いとされています。メキシコの生産性が低い理由は、主に4つあります。
実際、多くの日系企業の方々からこの4つの問題をよく聞きます。さらに、テレワークが増えることにより、より生産性が低くなる可能性があります。コロナにより働き方が変わり、今まで以上に人材マネジメントが重要になってきます。
こういった問題を解決していくためにも必要不可欠なのが、人事評価制度です。人事評価制度は、ただ導入すればいいというものではありません。効果的に運用をしなければ意味がありません。多くの企業では、人事評価制度をただの“評価制度”として導入しています。しかし、人事評価制度は“評価制度”ではなく、“マネジメントシステム”として活用する必要があります。働き方が変化していく中で、生産性を考えることが重要です。
また、人事評価制度を“マネジメントシステム”として活用していくためには以下のような点を考慮することが必要です。
メキシコでは毎年のインフレ率や最低賃金の上昇率を加味して昇給を行うことが一般的です。もちろん必ずそうしなければならないという規定はありません。実際、コロナの影響により業績が落ち、インフレ率分を上げることが出来なかった企業もあります。その中で本当にインフレ率や最低賃金の上昇率分を上げることが正しいと言えるのでしょうか。2022年はインフレ率が8%以上になっています。もし、インフレ率分は必ず加味するとなると、50,000ペソの方の給与が54,000ペソになることになります。
インフレ率分をカバーするだけの売上利益が上がっていれば、インフレ率分を必ず昇給させ、さらに評価制度の評価によって、追加で昇給させることは問題ないかと思います。しかし、売上利益が8%上がっていない場合、むしろ下がっている場合にはかなり利益を圧迫することになります。
そのため、外部環境によって変わるインフレ率や最低賃金の上昇率ではなく、会社の目標に応じて昇給する制度が必要です。
メキシコでは、優秀な人材ほどキャリアアップを求めて絶えずより良い条件の職場へと転職する傾向があります。また、工場のワーカーといったブルーカラーの労働者間でも、各企業の賃金や福利厚生についての情報はすぐに広まり、隣の工場での賃金や手当が少しでも良ければすぐにそちらへ移ってしまうケースもあります。日本でも働き方としてYoutuberやインフルエンサーといった「個」の働き方が目立ってきていますが、まだ終身雇用的キャリアプランの考え方が根強くありますので、メキシコとの労働者意識の違いに注意が必要です。また、ある一定以上の役職は日本人ばかりといった日系企業では、メキシコ人のモチベーションを保つことができません。そのため、「なにをどれだけ頑張ったら、どうなるのか」を示し、いい人材が育つ仕組みが必要です。
メキシコ人は仕事に対して、「受け身」である人が多いです。「受け身」だと自分で考えることをしなくなり、なにか問題が起きたとしても誰かのせいにするのです。そのため、なかなか中間管理職が育たないと言われています。そのため、会社からキャリアアップを明確化にした上で、自ら目標を考える機会が重要になります。最初はかなり時間がかかりますが、繰り返していくことにより、中間管理職としての意識や考え方が身につくようになります。
マネジメント層(評価者)の育成のために重要なポイントは「会社の方向性」「VISION」の共有です。部下を教育する評価者がしっかりと「会社の方向性」を理解しておく必要があります。そのためにどれだけの場を設けるかが重要です。多くの日系企業のケースですと、日本本社から「会社の方向性」を拠点長等に落とし込まれるものの、そこから現地のマネジメント層に共有される場は半年に一回程度です。
メキシコ人のマネジメント層へ「会社の方向性」の1ヶ月に1回場を設けることが評価者の育成において重要になります。
コロナが終息に向かっておりますが、まだまだ半導体の不足の影響や輸送費の値上げなどで、なかなか思うように売上や利益が上がらない状況が続いている企業が多くあります。また、コロナ後もテレワークなどが続き、生産性も上がらず、利益が圧迫されているという話もよく耳にします。そんな中でも、上手くいっている企業もあります。その企業の特徴として挙げられるのが、メキシコ人の「マネジメント層が育つ仕組み」です。“育てる”ではなく、“育つ“仕組みを作ることがポイントです。そのために、人事評価制度というツールを上手く使うことが重要なのです。
アフターコロナでは今までの“評価制度”としての人事評価制度ではなく、“マネジメント層が育つマネジメントシステム”としての人事評価制度が求められてくるのではないでしょうか。
今回を機に、人事評価制度を見直ししてみていただければと思います。
私たちは東京コンサルティンググループのメキシコ拠点として2012年に設立して以降、日系企業を中心に延べ100社以上の海外進出支援から進出後の財務・会計・税務・経理代行・給与計算・労務・法務・ビザ取得などのバックオフィス業務のサポートを行ってきました。
最近ではメキシコの進出ブームが落ち着き、バックオフィス業務だけでなく、会社としての”経営の仕組みづくり”が必要となってきていると感じます。
初めて駐在される方や会社の管理業務が初めての方でも安心して自社のビジネスや仕組みづくりに集中できるよう、社外パートナーとして全力でサポートさせていただきます。
日本の会計事務所および税理士法人にて、設立、会計・税務や監査を中心に日本の企業サポート。2019年よりメキシコに駐在しており、日本での経験を活かし、中南米での海外進出、会計・税務、人事・労務、人事評価制度等を通じて、日系企業のマネジメントのサポートを行う。
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