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メキシコの有給休暇


投稿日 : 2023年 02 月 24日   更新日 :   カテゴリー :メキシコの人事部

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今回のトピックは、「メキシコの有給休暇」についてです。
2022年に連邦労働法(Ley Federal del Trabajo)の有給休暇日数に関する規定が改正されました。改正の内容はもちろん、有給休暇に関する法規制を知っておくことは、労務管理において重要です。また、雇用契約書等において有給休暇日数を明示し規定していた企業もあるかと思いますが、本改正により、雇用契約書等に記載された有給休暇日数が法定を下回ることとなる場合も想定されます。これを機に、雇用契約等の記載を見直すこともご検討ください。

1、有給休暇に関する2022年改正

2022年12月27日、連邦労働法(Ley Federal del Trabajo)第76条及び第78条の改正が官報公示され、2023年1月1日に施行されました。
連邦労働法第76条の改正により、これまで労働者に与えられていた有給休暇日数が以前に比べ多くなりました。法定で付与される有給休暇日数は、勤続1年で12日となり(改正前は6日)、以降、勤続5年まで2日ずつ追加されます。勤続6年以降は5年毎に2日が追加されることとなります。同改正に基づく有給休暇日数は次のとおりです。

勤続年数 有給休暇の日数
1年 12日
2年 14日
3年 16日
4年 18日
5年 20日
6年~11年 22日
以降、5年ごと +2日

有給休暇取得の請求権は、勤続年数のカウントが上がるごとに発生するため、本改正前から雇用していた労働者の有給休暇については、2023年以降、勤続年数が1年増えた時点で、当該勤続年数に対応する改正後の有給休暇の日数が与えられます。たとえば、2020年7月1日に雇用を開始した労働者の場合、2023年7月1日に勤続年数3年となり16日の有給休暇が与えられることになります。
また、連邦労働法第78条では、労働者は、少なくとも連続12日間(改正前は6日間)の休暇を享受する権利があるとされておりますが、本改正により、労働者の希望により調整されうる旨が追加されました。

2、2022年改正以外の有給休暇の法規制

連邦労働法には、改正された規定以外にも、次のような有給休暇に関連する規定が設けられています。 非連続的な労務を提供する労働者及び季節労働者は、1年の労働日数に応じて、年次休暇を受ける権利を有します(連邦労働法77条)。
有給休暇の買い上げは禁止されています。また、年次の途中で当該労働者と使用者との雇用関係が終了する場合は、使用者は、当該年次の終了後に享受できる有給休暇日数分の給与と手当を、当該労働者の勤務日数の割合に応じて、当該労働者に支給しなければなりません(連邦労働法79条)。なお、雇用関係終了時に当該労働者がその取得すべき有給休暇を取得していなかった場合には、使用者は、その有給休暇日数分の給与と手当を労働者に対して支払うこととなります。
有給休暇を取得に際し、Prima Vacacionalと呼ばれる手当を支給しなければなりません。使用者は、少なくとも取得休暇日数に応じた賃金の25%の額を手当として支払うこととなります(連邦労働法80条)。
使用者は労働者に対し有給休暇を各勤続年の終わりから6か月以内に取得させなければなりません。使用者は労働者が勤続を1年更新するごとに、その労働者の勤続年数や取得できる有給休暇の日数等を記した書面を労働者に提供し、これを知らせなければなりません(連邦労働法81条)。
万一、有給休暇の取得や有給休暇手当の支払いがなかった場合、労働者は有給休暇取得期限の翌日から起算して1年間、有給休暇日数分の給与と手当の支払いを請求する権利を有します(連邦労働法516条)。
さらに、使用者は有給休暇の取得や手当の支払いを証明する書面を当該労働者の雇用期間中はもちろん、雇用契約の終了から少なくとも1年間は保管しなければなりません(連邦労働法804条)。

この記事に関してご質問は、TNY LEGAL MEXICO S.A. DE C.V.まで、お気軽にお問い合わせください。

執筆者

南 智士

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【執筆者プロフィール】
日本国弁護士。TNY LEGAL MEXICO S.A. DE C.V.所属。
2014年以降、⽇本で中⼩企業の契約書作成(和⽂・英⽂)、就 業規則等の整備、規制調査、特許侵害調査対応、紛争対応などに従事。メキシコでも、これらを含め⽇系企業の法律相談業務や法⼈設⽴業務に対応する。

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